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データの中に「ないもの」は?

◆ 爆撃機の「帰還率」を高めるための研究より


第二次世界大戦中、アメリカ軍はドイツ軍の対空砲火(爆撃機への攻撃)に悩まされていました。少しでも爆撃機の帰還率を高めようと、日々さまざまな研究が行われていました。


・攻撃されても帰還できる確率を高めるには、装甲を強化する必要がある


・しかし機体全体を強化すると、機動性が落ちて撃墜されやすくなる


・特に重要な部分だけを強化すれば、耐久性も機動性も確保できる


どこを強化すべきか見極めるべく、帰還した爆撃機を調べた結果、図の赤い点の部分が特に銃撃されているとわかりました。


爆撃機のデータ

あなたなら、これを見て装甲のどの部分を強化すべきだと考えますか?



◆ 何も考えなければ、多くの人は「目に見えるもの」で判断する


直感的には、データで示された赤い点の部分を強化すべきだと考えるはずです。多くの研究者もそのように主張しました。しかし、統計学者のエイブラハム=ウォルドは違いました。


「赤い点は、『銃撃されても帰還できた』という事実を示している。強化すべきは、赤い点で記されていない箇所だ」


・存在するのは「帰還できたデータ」だけ


・「撃墜されたデータ」は収集できない


・データに残らない箇所こそ強化すべきである


こうして装甲を強化した結果、今の歴史になったのかもしれません。



◆ 自分の「見えてないもの・知らないこと」をどこまで意識できるか


普段の生活でも、私たちは「見えているもの・知っていること」で判断しがちです。


なぜうまくいかないのか、どうすればうまくいくのか、考える時によく参考にするのは、「自分の経験」や「成功者(っぽく見える人)のアドバイス」です。


しかし、そこから見えない「盲点・錯覚」にこそ、重要な知見が隠れています。


新しいアイデアや重要なひらめき、自分なりの答えを見つけるには、そういうところに目を向ける知性と勇気も大切ですね。


「自分に見えていないものは何か?」

「自分がまだ知らないことは何か?」


ぜひ考えるヒントにしてみてください。


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