先日、知人に誘われてある交流会に参加した時のこと。
初対面の人から「おもしろくて不愉快な発言」を頂いたので、事例として紹介します。
(きちんと対処できていて愚痴は一切ないのでご安心ください)
他者が失礼なことを言ってきた時、マウントを取ってきた時、気分を害することなく対処するにはどうしたらいいか?
コミュニケーションのヒントとしてお役立ていただけたら嬉しいです。
名刺交換や自己紹介で好印象を与える
僕は「勉強を教えない塾」として事業をスタートし、ご縁によって事業内容を進化させてきた。
子ども向けの事業だった頃は自己紹介もスムーズでしたが、大人向けに変わっていくにつれ、説明が難しくなっていきました。
「初めまして、福田幸志郎と申します。勉強を教えない塾を運営しています」
「学習塾ですか?」
「もとは子ども向けでしたが、最近は大人向けのサービスになってまして……」
「何を教えてるんですか?」
「相手の話を聞いて思考を整理したりアイデアを広げたりしています」
「コーチングみたいなものですか?」
「……まあ、そんな感じと思っていただけたらわかりやすいかと……」
(本当はそうじゃないけど説明が面倒なので割愛)
今の事業の実態に合った自己紹介に進化させようと考えた結果、今のコンセプト(Dress Words Up)を掲げるようになりました。
「言葉のドレスアップをテーマに、言語化/差別化をお手伝いしています」
長々と説明することをやめ、端的なキーワードにまとめたことで、圧倒的に意図が伝わりやすくなりました。
「言語化、苦手ですが大事ですよね」
「ドレスアップって、響きがオシャレですね」
「うちも競合との差別化に苦心してまして……」
自己紹介を見直すと、いろんな発見があるのでオススメです。
新しいものを打ち出すと、新しい反応が返ってくる
前向きな反応が返ってくる時は嬉しいものですが、必ずしも良いものばかりではありません。
先日、知人が主催する交流会に参加した時のことです。コンサル業やセミナー業をされている方と名刺交換をする場面がありました。
「初めまして、福田幸志郎です。言葉のドレスアップをテーマに、言語化/差別化のお手伝いをしています」
「初めまして、○○と申します。私は服装や姿勢のコーディネートをお手伝いしています」
「ドレスアップという観点では、近いかもしれませんね」
「そうですね。メラビアンの法則はご存知ですか?」
「わかります。見た目の印象が大事ってやつですね」
(ご存知ない方のために補足しておくと……)
アルバート=メラビアンという心理学者が提唱した概念
コミュニケーションへの影響度合いは、見た目(視覚)が約55%、音(聴覚)が約38%、言葉が約7%である、という法則
マナーやコミュニケーションを題材にしたセミナー・研修で取り上げられることが多い
事業内容こそ違えど、人の成長や活躍には「ドレスアップ」が大切である、という考えは共通しています。
「お互い、ドレスアップを楽しみながら人に貢献していきましょう」
いい感じの雰囲気で会話を切り上げようとした時のことでした。
「福田さんが7%、私が93%、併せて100%ですね。お役に立てることがあればいつでもお声掛けください」
言葉には無意識的な態度が出る
嫌味っぽさはなく、温和な態度そのままだったので、おそらくその人に悪意はありません。
相手を陥れたり傷つけたりしようとして出た言葉ではないことは汲み取れました。
しかし、「あなたの貢献できる範囲は7%」と言われて喜ぶ人はいません。
本人が気付いてすらいない、「無意識のマウント」が出てしまった瞬間でした。
「福田さん、ぜひまた改めてお話ししましょう」
その方は会話が楽しかったみたいですが、僕は笑顔で会釈してその場を後にしました。
(ああ、この人は見た目「だけ」のコンサルをしている人なんだな)
その発言に対抗することはありませんが、それ以上関わりを深めようとも思いません。
どんなに外見を着飾って第一印象を良くしても、内面が洗練されていなければ長期的な関係は築けないと再認識した一コマでした。
ただ、話をこれで終わらせてしまっては、嫌味を言われてスルーしただけの話で終わってしまうので、一つ「ドレスアップの視点」をお伝えします。
どのように捉えれば、心をかき乱されずに済むか
家族や友人を、「愚痴を吐き出される犠牲者」にしないためには
これがもし議論や交渉だったら、どう反論して対抗すればいいか
あなたなら、どう対処しますか?
マウントに対処するには、「多様な尺度」を備えておく
先に、今回の件に関する僕の対処法を示しておきます。
僕はもし反論が必要であれば、こんな内容を準備していました。
「確かに、自分が数十年活躍すればいいだけなら、見た目の93%は重要ですね。
僕は数百年数千年先まで貢献したいので、『記録に残る言葉』を大事にしています」
「ちなみに、その法則の提唱者のメラビアンさんって、どんな人かご存知ですか?
結局、みんなの記憶に長く残るのは、7%の言葉だけなんですよね」
もちろんこれがベストとは限らないので、名案を思いついた方はぜひ教えてください。
(あくまで「議論に勝たなければならない場面」に限った発言なので、実際に言い返す場面はほぼないはずです)
今回の反論のポイントは、「比べる対象」を変えるところにあります。
相手は「割合」で優位に立とうとしている
こちらは新たに「期間」という別の尺度を設ける
同時に、「他者への貢献度」という優位性も付け加える
「短期的・刹那的にはあなたの方が優位に立つけど、長期的・精神的にはこちらが上」
という構図を作っている、というわけです。(日常会話ではオススメしません。笑)
これは「レトリック」と呼ばれる話術の一つで、議論や説得の場面では時に必要となる能力です。
体系的な知識や具体的な技法は、今後ワークショップでも企画していくので、興味がある人はぜひ一緒に学びましょう。
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コミュニケーションにも「護身術」を
マウンティングや不適切な発言は、いつだって「不意打ち」です。
対処するには、その瞬間のリアクションでなく、日々の「言葉の積み重ね」が必要です。
日々、言葉に対する感性を磨いておくほど、反論したり受け流したりする能力は高まります。
柔軟な考え方・捉え方ができるほど、人間関係のストレスは大幅に軽減できるので、そのためにも日々思考と言葉を洗練させていきましょう。
機嫌よく関われる人間関係を広げていけるように、「言葉のドレスアップ」を楽しみましょう。
お読みくださいまして、ありがとうございました。
福田幸志郎
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