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時間の豊かさと充実は、質の高い「会議」から生まれる!

(もくじ)

 

1.マルチタスクの不思議

 

2.「充実の秘訣」は、反感を買いやすい

 

3.10分の会議が生み出す100分の奇跡

 

4.時間は紙の上から生まれてくる

 

5.「やることリスト」を進化させるヒント

 

 

1.マルチタスクの不思議

 

 

「(いったいどこにそんな時間があるのかしら?)」

 

PTAの役員会議が終わった後の茶話会で、

 

カオルは一緒に役をしているサキの話を聞いて思った。

 

 

「楽しいことを考え出すとキリがなくて…」

 

実際にキリがないほど話し始めたサキの日常は、

 

カオルにはマネできないほど忙しそうに思えた。

 

 

・アウトドアショップの店員

 

・自宅サロンでお茶会や勉強会

 

・オススメ本の紹介ブログ

 

・小学校PTA副会長

 

・自治会の地域役員

 

……もちろん、育児と家事ができた上での話。

 

 

こんなにアクティブな人はあまり見たことがない。

 

いや、実際のところ活動的な人はたくさんいるけど、

 

こんなに「余裕がある」人は見たことがない。

 

 

がんばっている人は確かにすごい。

 

でも、たいてい何かに追われていて余裕がなく、

 

尊敬というよりは気の毒に感じることもある。

 

「では次の用事があるので、お先に失礼しまーす!」

 

ちょうどそんなイメージに当てはまる高崎さんが、

 

あいさつもそこそこにさっさと帰ってしまった。

 

(そういえば、会議の始まりも遅刻してたような。)

 

 

2.「充実の秘訣」は、反感を買いやすい

 

 

「サキさんって、なんでそんなに余裕があるんですか?

 

ほら、その……いろんなことに手を出してる割に。」

 

サキがお喋りに気を良くしているスキを見て、

 

カオルは失礼を承知で申し訳なさそうに尋ねた。

 

すると、サキの笑顔が一瞬真顔になった。

 

 

「……あのね、これを言っちゃうと、

 

バタバタしてる人に反感を買うだけだから、

 

あまり人には話さないようにしてるんだけど……」

 

再び笑顔に戻ったサキは小声で前置きすると、

 

周りに聞こえないようにカオルに耳打ちした。

 

 

「時間ってお金と性質が似てて、

 

『作り出す方法』があるの。

 

豊かな人はそれを知っていて、

 

貧しい人はそれを知らないだけ。」

 

 

……確かにネットに書くと炎上しそうな発言だ。

 

(※このブログはネット上に公開されています)

 

 

誰だって、「貧しさ」を勉強不足だとは思いたくない。

 

がんばってないわけじゃないし、

 

努力だけではどうしようもないこともあるから。

 

時間やお金を生み出す方法があるなら、

 

私だって知りたい。でも……

 

 

「時間の確保って、難しくないですか?

 

子どもの予定や体調は読みにくいし、

 

家のことは自分がやらないと誰もしないし、

 

仕事や地域のことは人手不足ですぐ駆り出されるし……」

 

カオルは批判にならないように気遣いながら、

 

自分も含め主婦が抱えてそうな反論を試みた。

 

 

「そうなの、そのままにしちゃうと、

 

ほんと時間と労力を奪われちゃうのよね。

 

だから『対策』を知っておく必要があるの!」

 

反論を予想していたように笑みを浮かべて、

 

サキは楽しそうに話を続けた。

 

 

「カオルさんは、『自分との会議』の時間って作ってる?」

 

 

「……自分との会議?」

 

「ほら、仕事って会議で方向性を決めるでしょ。

 

優先順位を考えたり、課題について話し合ったり……

 

私たちの生活や人生にも、そういう時間って必要だと思わない?」

 

サキの話術はセールストークさながらだったけど、

 

カオルの興味に合っていたから不思議と嫌ではなかった。

 

 

「確かに、ちゃんと考えないといけないとは思います。

 

でも、余裕がないとそんなことに頭がまわらなくて……」

 

ただでさえ家事や仕事で時間がないのに、

 

ゆっくり考える時間なんて作れるだろうか。

 

そんなカオルの不安もサキはお見通しだった。

 

 

「例えば、10分だけ効果的な会議をしたとして、

 

その後の100分が有意義に過ごせるとしたら?

 

仕事でもスポーツでも、人生でも、

 

作戦を練ってから取り組むって大切だと思わない?」

 

 

3.10分の会議が生み出す100分の奇跡

 

「忙しいから会議の時間がないんじゃなくて、

 

会議の時間を作らないから忙しいって考えるの。」

 

サキの言い分は逆説的だけど説得力があった。

 

 

「きちんと考えることで効率的に時間が使えるなら、

 

そういう会議はありかもしれませんね。

 

でも私の場合、いざ会議の時間を取っても、

 

何をしていいかわからなくてダラダラしてしまいそう……」

 

「カオルさん、この後少し時間あるなら、

 

ちょっと近くのカフェでお茶しない?

 

せっかくなら、私の会議のしかたをお伝えしましょうか?」

 

 

今日は帰ってから家の片付けをしようと思っていたし、

 

いつも時間がないように感じていたけど、

 

このサキの提案はとても貴重な気がした。

 

「ええ、じゃあちょっとだけお願いします。」

 

カオルとサキは茶話会の席を立つと、

 

「お先に失礼します」と残っている人に一声かけて、

 

学校の近くのコーヒーショップへ移動した。

 

いざとなると確かに時間はあるのかもしれない。

 

 

4.時間は紙の上から生まれてくる

 

 

……気付けばもう40分が過ぎていた。

 

ほんの10分くらいと思っていたけど、

 

思いのほかサキの「会議」が楽しくて、

 

気付けば夢中になってメモをとっていた。

 

カオルはサキの手順に従いながら、

 

頭の中で考えていたことを紙に書き出した。

 

 

・近所の公園を散歩する(昼過ぎ、10分くらい)

 

・リビングの片付け(書類すてる、掃除機かける)

 

・寝る前のストレッチ(ヨガマット買う、動画見る)

 

・ユウコとのお茶会(まず連絡、今月中に)

 

 

書き出してみて気付いたことがたくさんあった。

 

どれも家事と仕事で後回しにしていたこと。

 

書いてしまえば早く実行したいと思えること。

 

頭の中が妙にスッキリしてきたこと。

 

意外ともっといろんなことができそうなこと。

 

 

「ほら、会議って言っても、難しくないでしょ?」

 

カオルの表情が明るくなってきたことを確認して、

 

サキはお茶を一口飲みながら微笑んだ。

 

「ほんと、不思議です!

 

会議っていうから、もっと堅くてまじめなのかと……」

 

「せっかく自分自身のことなんだから、

 

楽しくなくちゃもったいないでしょ?」

 

「そうですね、これから続けられそうです!

 

あー、もっと早く知っておけばよかった。」

 

 

会話の弾み方もさっきまでと全然違って、

 

カオルもますます気分がよくなってきた。

 

 

「みんな頭の中だけで考えてばかりで、

 

紙に書くことも人と話すこともないから、

 

余計に余裕がない状態がずっと続くの。」

 

サキはカオルの相談に一区切りをつけて、

 

会議についての解説を始めた。

 

「多分、みんな『やることリスト』くらいなら

 

作ったことがあると思うんだけど……」

 

 

5.「やることリスト」を進化させるヒント

 

 

「『やることリスト』だと、

 

『やること』ばっかりが増えていって、

 

どんどん負担と疲労が溜まっていくの。

 

ほら、リストに書き出したことって、

 

全部完了する前に次のリストが増えるでしょ?

 

 

区切りをつけたり、

 

休息を入れたり、

 

それについて人と話したり、

 

計画や行動には『メリハリ』が大事なの。

 

 

人間はコンピューターじゃないから、

 

予定さえ立てれば実行できるとは限らなくて、

 

メンタルやパフォーマンスのケアもしなくちゃ!」

 

 

サキの話には人間味があふれている感じがして、

 

カオルはこの「会議」に不思議な温もりを感じた。

 

サキが解説や失敗談を一通り繰り広げたところで、

 

夕飯の支度に帰らないといけない時間がやってきた。

 

 

「サキさん、貴重な時間をありがとうございました。

 

まずは私も今日話したことを試してみますね!」

 

「こちらこそありがとうございました。

 

人にはあまり話さないことなのに、

 

楽しくてつい喋りすぎちゃった。

 

ぜひ時間の余裕をつくって、一緒に遊んでください。」

 

 

サキとの距離がグッと近くなった上に、

 

余裕がある感じの秘密も少し理解できて、

 

カオルは二重に嬉しくなった。

 

自分も、もっと余裕のある人になりたい。

 

もしかしたら、実際になれるかもしれない。

 

 

次にサキとお茶をする時までに、

 

自分も何か新しいことを始めてみよう。

 

そう思ってカオルは散らかった自宅への帰路に着いた。

 

(To be continued...)