
【参加者みんなが楽しめるオンラインの場をつくりたい人のための、失敗しない準備術】
(もくじ)
1.オンラインコミュニケーションのよくある失敗
2.リアルコミュニケーションより優れているところ
3.オンラインにチャレンジする人のためのガイドライン
【保存版:オンラインコミュニケーションチェックリスト】
(1)「レール」は、参加者を安心させる道しるべをつくること
(2)「ルールは、共通理解(法律)のもとで交流をはかること
(3)「ツール」は、道具や機能を効果的に使いこなすこと
4.あなたの身近な人・大切な人を喜ばせよう

1.オンラインコミュニケーションのよくある失敗
オンライン講座やオンライン飲み会が増えてきていますね。
友だちと内輪で開催する時や、参加者として参加する時は、気軽にその場を楽しめます。
でも、いざ自分が企画に挑戦するとなると、不安を感じることが多々あります。
「参加してみたけど、つまらなかった」という声も少なくありません。
△ 話に入るタイミングがわからなくて、全然喋れなかった
△ リアルの講座に比べて、家だとあまり集中できない
△ 成り行き任せで、他の参加者にすごく気をつかって疲れた
△ 家族の声や救急車の音、書類のガサガサする音が耳障り
△ 解説や発言を待っている時間が多くて退屈だった
まだ「やっぱりリアルの方がいいよね」と思っている方も少なくありません。
実際のところ、リアルに似せようとすると、どうしても「劣化版」になってしまいます。

2.リアルコミュニケーションより優れているところ
じゃあオンラインは所詮その程度か、というと、必ずしもそうではありません。
きちんと準備や設計をすれば、オンラインの方が効果的になる可能性があります。
一例を挙げてみると……
・無駄話が減るから、効率的に勉強や会議ができる
・冷静な頭で考えられるから、詐欺や扇動に騙されにくい
・移動しなくていいから、使える時間の総量が増える
・文字も使えるから、話の中身が見えやすく、証拠も残せる
・遠くにいる人同士の交流が増え、人生の幅が広がる
リアルとオンラインをかけ合わせてコミュニケーションを取れることは、いわば小学生が足し算とかけ算を使えるようになることと同じです。
効果的にコミュニケーションをとるための手段として、少しずつオンラインを使えるように学んでいきましょう。

3.オンラインにチャレンジする人のためのガイドライン
いざ自分がオンラインの講座や飲み会を企画するとなると、疑問や心配がたくさん出てきます。
「どうやって盛り上げればいい?」
「退屈させたらどうしよう?」
「焦って変なこと言ってしまわないかな」
自分が話したくて主催する人はこんなことで悩みませんが、みんなを楽しませようと思う人には大きな不安材料ではないでしょうか。
そのカベを乗り越えて素敵なオンラインコミュニケーションを実現していただくために、手順やチェックリストをまとめました。
大きく分けると、「レール」と「ルール」と「ツール」がキーワードです。
(※ 必ずこの順番で設計することをオススメします)
一つずつ解説しますので、これから主催を考えている人は参考にしてみてください。
【保存版:オンラインコミュニケーションチェックリスト】
(1)始まりから終わりまで、全体の流れや到達ゴールなど「レール」が見えている
(2)主催する場の「ルール」が文字や絵で表現されている
(3)利用するアプリや機能、紙やペンといった「ツール」の使い方を把握している
これらを一つ一つ分解してお伝えしていきます。
「レール」「ルール」「ツール」の順にチェック・準備してみてください。

(1)「レール」は、参加者を安心させる道しるべ
□ 目的を先にはっきりさせる
□ 議題やプログラムで進行手順を示す
□ オープニングとクロージングを用意する
リアルでもオンラインでも、交流や学習の場を企画することに慣れるほど忘れてしまいがちですが、もっとも大事なことを先にお伝えします。
「社交の場に慣れていない人からすれば、参加することそのものが不安材料である」
主催者の大半はコミュニケーション慣れしている人たちですから、まずこういう不安が理解できない人もたくさんいます。
だから逆に、その不安に寄り添える主催者にはファンが集まるはずです。
参加者の不安の正体は、「そこがどんな場で、どんな人が集まって、何をするのか」がわからないこと。
「目的・対象者・プログラム」がわかるだけで、参加者は自分の取るべき行動がイメージできます。
□ 目的:その場が何のために用意されたのか、先に伝える(最重要!)
目的は「○○について語る場」とはっきりさせる場合もあれば、「ダラダラ適当に喋る」と空気感任せにしてしまう場合もあります。
とにかく「何をする場なのか」をはっきりさせておくだけで、不安とストレスの8割は減らせるはずです。
避けたいのは、「もっと発言できると思ったのに」とか「主催者の話が聞けると思ったのに」とか、目的のミスマッチ。
主催者が喋るのか、参加者が喋るのか、議論なのか、雑談なのか、「目的」がはっきりしていれば、「付き合いで参加したけど退屈だった」という事故は防げます。
□ 議題・プログラム:参加者が時間内に話したり考えたりする内容を示す
およその進行方向と時間の見通しがわかれば、参加者は冷静に過ごすことができます。
「これからどこへ向かうのかわからない」という状態は、ミステリーツアーでもない限りストレスになります。
ざっくりでいいので、最初の何分はコレ、次はコレ、最後はコレ、と道すじを示しておきましょう。
参加者に考えてもらうワークショップの場合は、「考える内容」を先に示しておくのもあり。
「他の人の発言を待っている間ヒマだし、ワークやっとこう」と先へ進める方が満足度が上がる人もいます。
□ オープニングとクロージング:緊張をほぐしつつ気持ちを切り替え、最後は引き締める
お互いが家にいながらの参加になると、ついダラダラした感じで始まり、ダラダラと長引いてしまうことがあります。
せっかくのコミュニケーションの場なら、特別感を演出しつつ、潔く区切る雰囲気づくりも大切です。
「今から○○になったつもりでこの場を過ごしましょう」
「ぜひこれからの日常に○○を持って帰ってください」
こんな一言が最初と最後にあるだけで、講座や飲み会は記憶に残りやすくなるでしょう。

(2)「ルール」は、共通理解(法律)のもとで交流をはかること
□ 発言のしかたを決める
□ 時間配分を決める
□ 参加者の役割をお互いに理解しておく
意外と誤解されがちなことですが、「ルール」は自由を奪うためのものではありません。
「ルールがあるから、お互いの自由が保障される」というのが真実です。
(自由を奪ってガチガチに固められたものは、ルールではなく、ただの足枷です)
リアルとオンラインのコミュニケーションでは、「ルール」が異なります。
これは日本とインドでコミュニケーションのカタチが異なることと似ています。
今のうちに「異文化コミュニケーション」に慣れることが大切です。
□ 発言のしかた:意見がある時の発言のルールを事前に示す
思いつきの発言を許してしまうから、話が脱線したり、空気を読めない人ばかり発言したりすることになります。
オンライン上は「一人しか発言ができない」という制約があるため、発言はいわば「希少資源」みたいなもの。
変な言い方ですが、その場の参加者みんなにとっての「価値の高い発言」に時間を使いたいところです。
そのためには、反射的な発言を避けることがポイントになってきます。
「発言はまずチャットに書く」
「発言する時は手をあげる」
「発言は1分以内に」
などのルールがあれば、より効果的なコミュ二ケーションがはかれます。
意外と忘れやすい重要なポイントは、先にルールを「文字で」示しておくこと。
口で言うだけだと忘れられたり、後出しだと反感を買ったりするので、「ルールに同意できる人だけが参加する」という事前の告知が大切です。
□ 時間配分:レクチャーは5分、チャットは5分、意見交換は10分が目安
これはオンライン講座のケース。
リアルだと15分聞ける話も、オンラインでは5分が限界。
(マーケティングの研究によると、現代人のオンライン上の集中力は平均7分だとか)
レクチャーによるインプットは少なめに、チャットや発言によるアウトプットを増やすことが、オンライン講座の満足度向上につながります。
リアルの講義や講演では、「レクチャー→(ワーク)→意見交換」という流れが一般的ですが、オンラインではチャット機能が使えるので、順番を工夫するとより効果的です。
「チャット→レクチャー→意見交換→(ワーク)」
先に自分の意見を言葉にしてもらうことで、自分の意見と比べながらレクチャーを聞くことができます。
そしてまわりの人の意見とも比べながら、最終的に自分の意見をまとめていくと、最初と最後で意見の変化や重要ポイントが見えやすくなります。
これは知識中心から学習者中心にシフトする新しい学びのカタチでもあります。
□ 参加者の役割:話したい人と聞きたい人、素人と専門家で立場を区別しておく
オンラインコミュニケーションに参加する人には、「話したい人」と「聞きたい人」がいます。
話したい人に話をさせて、聞きたい人に聞いてもらえたら、その場の満足度はグッと高まります。
逆に話したいのに話せないとか、聞きたいのに話を振られるとかは、参加者にとってストレスが溜まるもの。
先に「今日は話したい気分ですか? 聞きたい気分ですか?」など確認して、お互いの立場をはっきりさせておくと、参加者同士も距離感がわかって話しやすくなるでしょう。
議題がある場合は、お互いの素人度合い(テーマに関する習熟度)を知っておくと、知ったかぶりや浅い議論を避けることができます。

(3)「ツール」は、道具や機能を効果的に使いこなすこと
□ 機能を把握する
□ 文具を活用する
「tool」とは、そのまま「道具」を意味します。
オンライン通話には、たくさんのアプリがあります。
(zoom、LINE、Facebook、Skype、Microsoft、Googleなど)
50人100人を超える講座やカンファレンスを開催する場合はさておき、基本的には自分が慣れているアプリを使えば大丈夫でしょう。
その際には、どんな機能があるか確認しておくことが大切です。
そして意外と見落としがちですが、ツールはアプリの機能だけではありません。
パソコン上だけにとらわれず、机の上にあるリアルのツール(文具)も活用できます。
講座や飲み会の目的(レール)と手段(ルール)に応じた機能をうまく使いましょう。
(機能:ここでは「zoom」を例としてご紹介します。)
□ チャット:みんなで意見を出し合う時に最適、圧倒的に時間短縮ができる
□ 画面共有機能:手元のデータを見せる時に便利、資料の配布や印刷の手間も省ける
□ ホワイトボード:イラストで伝えたり、議論を重ねたりする時に活用
□ ブレイクアウトルーム:グループディスカッション機能、設定方法は調べてください
□ 手をあげる・反応:他の人の話をさえぎらずにコミュニケーションができる
(文具)
□ 紙:素早くメモを残す時や、ワークシートとして書き込む時に重宝します
□ タイマー:議題・ワーク・発言の長さをコントロールする際に必須
□ ホワイトボード:フリップチャートとして使えて、人の話をさえぎらずに発言できる
□ 立体物:画面共有では伝えにくいものを紹介する場合は、実物を用意する方が効果的
……以上が、オンラインコミュニケーションの準備に役立つ内容となります。
チェックすることがたくさんあるので、最初から全部覚える必要はありません。
一つ一つ試しながら、参加者からの実際の反応をもらいながら、あなたに合った開催のしかたを覚えていってみてください。

4.あなたの身近な人・大切な人を喜ばせよう
リアルの場にも言えることですが、コミュニケーションに「これが正解」という唯一の答えはありません。
もし答えがあるとすれば、それは参加者が喜ぶこと、あなたが実現したいと思う場をつくることにあるはずです。
成り行き任せ、参加者任せにするのではなく、ルールやマニュアルに頼りすぎるのでもなく、
「あなた」にふさわしいコミュニケーションのカタチをつくってみてください。
実際に企画をしていく際にもっと具体的な参考がほしい方は、
ぜひ勉強を教えない塾が開催している講座や交流会にも参加してみてください。
「レール・ルール・ツール」を実際にどのように使いこなしているのか、参考にしていただけると思います。
世の中のコミュニケーションが進化して、より人間らしく、優しさと思いやりに満ちたものになっていくように、一緒に楽しみましょう!
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